市への陳情に対する説明会が開催されました(大久保児童クラブ)

大久保児童クラブ保護者会では、来年度入所希望者の大幅増加を受けて、去る11月26日(月)、来年度育成体制に関する陳情書を明石市に提出しました(詳細はこちら)。そして12月6日(木)保護者会からの要望により、明石市教育委員会青少年育成課が大久保児童クラブを訪れ、陳情に対する現時点での回答について、保護者への説明を行いました。

【地域の理解を求めたい】

児童クラブに子どもを預ける保護者は、両親とも昼間就業しているため、説明会は19時より行われました。説明会には全体の約70%の保護者が参加し、子連れ参加となった保護者の子どもは、会の間、児童クラブの指導員が保育しました。

大久保児童クラブは大久保小学校の敷地内にあり、施設の拡張に関する敷地の確保等については同じ敷地内にある小学校や幼稚園の理解も必要となるため、保護者会より依頼して大久保小学校の校長先生、大久保幼稚園の園長先生にもご参加いただきました。また、西明石愛児園の園長先生、本件に関して以前からご理解・ご協力をいただいている明石市議会の議員さん、明石市児童クラブ運営員会事務局長、といった地域の関係者、有識者にもご参加いただきました。

会の開催の冒頭では、保護者会の代表者より参加者への感謝の言葉とともに「子どもたちの生活環境に関わる地域の問題としてとらえ、『子どもたちの健全な育ちが明石市の未来につながる』という思いを一つにして、関係者すべてがハッピーになれる解決策を探りたい」という主旨のあいさつがありました。

【市は、入所希望者全員が入所できるよう施設の拡張を計画】

次に、青少年教育課より、陳情事項に対する現時点での回答について説明がありました。まずは、来年度の入所希望者が全員入所できるように施設の整備を検討していること、厚労省のガイドラインにある「1クラスの上限70名」を越えた場合は、現在の2クラスから3クラスへの分割を行い、指導員も規定どおりの人数を配置するとの説明がありました。保護者が懸念していた待機児の発生や1クラスの巨大化は回避されることがわかり、まずは少しホッとした様子が見られました。

建物については、現在のプレハブを南側に伸ばす形で、外壁を残したまま1階2階とも増築し(長屋のような形)40名程度収容できるようにするとの話がありました。現在は図面の作成を進めている最中で、施工業者等も決まっていないが、詳細が明らかになった時点で再度保護者への説明を行うことも可能、とのお話でした。

【保護者と地域有識者から活発な意見交換】

次に、質疑応答が行われました。保護者からの質問は、確実に3クラス編成になるのかどうか、建物は具体的にどのような仕様になるのか、といった質問が相次ぎました。2クラスか3クラスかについては、児童の募集が12月中旬に始まるため、最終的な入所希望者数が確定しなければ何ともいえないとの回答でした。また、建物は建築法や消防法に基づいて設計されるためまだ具体的なことは言えない、育成に必要な設備について保護者や指導員の希望は聞くが、すべてを反映できるとは限らないとの回答でした。

保護者の意見として「大きい建物では今までどおり上下階で1クラスずつ、小さい建物の1階2階で3クラス目の育成を行うとして、小さい建物をどう使うのか想像できない。1クラスが2フロアに分かれることで指導員の目が行きとどきにくなるのではないか」という懸念も聞かれました。それに対して「建物の使い方は各クラブに任せているので、市で指導することはない。現場で工夫して使ってほしい」との回答でした。地域有識者からは「指導員を増員することで解決できるのではないか」「建物だけ建てて『あとは現場でなんとかして』ではなく、最初から現場の声をすくいあげることで、もっと使いやすいものになるばず」といった意見もありました。

他にも「現在の建物も4年前に建ったばかりでもう定員オーバーとなった。この先数年の児童数増加を見越してもっと大きい建物を建てるべきでは」といった意見もありました。それに対しては「敷地に余裕があれば建てられるが、現状小学校も幼稚園も児童数増加で施設が足りず、これ以上の面積を確保することは難しい」といった回答がありました。小学校の校長先生、幼稚園の園長先生からも、施設が足りない現状についてのお話がありました。一方で「それぞれ施設が足りないのであれば、それぞれの予算を合わせて共用の大きい建物を建てることも可能ではないか。現実に明石市内でも小学校や幼稚園の施設と放課後児童クラブ施設が同じ建物に入っている例はある」という意見も出されました。今回は、それぞれの関係者の意見すり合わせのために保護者が地域の関係者を集めたが、本来は市が担当部署を越えて関係者を集めて話を行い、調整していくべきでは、という意見もありました。活発なディスカッションは21時頃まで続きました。

【地域の対話を促進する機会に】

今回出た意見は持ち帰って検討し、可能な範囲で計画に反映すること、今後は施設の図面ができた段階で保護者会役員に対して青少年教育課から説明を行い、最終的には工事開始前に再度保護者への説明を行う、ということになりました。

この説明会が大きな意味があるのは、放課後児童クラブの育成環境をめぐって、地域の関係者が一堂に集まり、それぞれの立場から意見交換をしたということです。小学校、幼稚園、放課後児童クラブ、今回は不参加でしたがコミセンや市民センターなど、市の施設は市民のためにあります。それぞれが担当部署を越えて連携し、対話することでお互いの問題を解決し、より有効に施設を活用していくこともできるのではないでしょうか。現場の意見を生かして、いまある市の財産を最大限に生かしていくこと、新たな施設を建てる際は長期的見通しのもとに全体最適の視点で建てることで、無駄な予算をかけなくて済むこともあるかもしれません。今後より一層の地域の対話・連携に向けて、今回の取り組みが第1歩となることを祈っています。