東二見の水掛け地蔵尊

水掛け地蔵尊

 東二見に「原の薬師さん」で親しまれている薬師寺が建っている。その境内の中に弘法大師が掘られたという清らかな霊水が湧き出ている霊場がある。
 千数百年前の昔、弘法大師がこの地を訪れ、土地の人から厚いもてなしを受け感謝されたという。そこで弘法大師は村人に「何か欲しいものはないか」とたずねられた。すると生活水に窮乏していた村人たちは弘法大師にすがるように水を求めたという。弘法大師は村人たちのその願いを受け取られ、さっそく持っている杖でコンコンと土をたたかれた。すると不思議なことに、そこから清水が湧き出てきたという伝説が今に伝わっている。

枯れることのない清らかな湧き水

 今この湧き出る霊水のすぐ脇に小さなお堂があり、その中に水掛地蔵尊が清らかな水を見守るように祀られている。
 それにしても不思議なのは、この霊水はどんな渇水になっても枯れることはなかった。しかもどんな大雨が降ろうとも水かさが一定量しか増さないのである。それが弘法大師が堀り当てられてから千数百年ものあいだ枯れることなく湧き出ているからだ。また冬は温かく、夏は冷たい清水が出ている。その霊水を水掛地蔵尊にかけてお祈りれすれば、願い事がかなうという言い伝えから、地元では厚く信仰されて親しまれてきた。